№0074 そして彼女は人妻となり、俺はナンパ師となった
先日、この記事でも触れた取引先の男=タカヒロから、俺の先輩と俺に報告したいことがあるからということで飲みに誘われた。
それはタカヒロが結婚するという話だった。
この話は俺たちにとっては寝耳に水の話であった。
なぜならば、タカヒロはずっと彼女がいないということで通していたからだ。
タカヒロは俺たちと仲が良く、特に先輩とは兄弟のような付き合いをしていたのだが、彼は彼女の存在をひた隠しにしていたとうことになる。
それもそのはずだ。タカヒロには話せない事情があったのだ。
何故ならば、その相手が、、、
うちの会社の七瀬だったからだ。
----------------------七瀬のデータ------------------------
年齢:20代半ば
容姿:スト7.5 - 8.0 乃木坂西野七瀬にちょい似
キャラ・雰囲気:おっとり、明るい、化粧濃い
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客先の女に手を出したのだから、言えなかったのだろう。
さらに加えて言うならば、恐らくもう一つ事情があった。
それは、その七瀬と俺が昔少しだけ関係があったことをタカヒロが知っていたからだ。
・・・・・・
何年か前の話になるが、
七瀬は当時うちの会社の地方支店に勤務していた。東京からは新幹線を使わなければいけない場所にある。俺はその地方支店に何度か出張に行く機会があり、七瀬とは一緒に何度か飲みに行く機会があった。
あるとき、七瀬から連絡があった。金曜日東京本社に行くのだが、そのまま泊まるので、週末2人で遊ぼうと。
俺の頭の中にクエスチョンが広がった。
七瀬は東京の彼氏と遠恋中だったからだ。
なぜ彼氏に会わずに俺と?
今よりさらに恋愛経験値の低い当時の俺には、なぜ俺を誘ってきたのか察することはできなかったし、七瀬本人にあまり深く突っ込むこともできなかった。
結局、その日は某アミューズメントパークへ行った。
それから七瀬とはお互いの出張などの機会があるたびにデートしていた。
正直七瀬のことはめちゃくちゃタイプだったのだが、今以上に受け身思考の俺は関係が崩れてしまうことを怖れ、健全な関係から前に進むことができなかった。
ついに、あるときようやく重い腰を上げ、個室居酒屋で飲んでいる時に酔った勢いで七瀬にギラついてみた。
キスとBまで成功した。
それからホテルに誘ってみた。しかし、どうしても彼氏グダを崩せなかった。
そのとき七瀬は聞こえないくらいの声でボソッと言った。
「もっと早くだったら・・・○△*+@」
今振り返るとよく分かる。敗因はギラつきの時期を完全に逸していたことだ。これまでのデートで七瀬の方からわかりやすくサインを何度も出していたなのに、俺はことごとく手をこまねいて見ていただけだった。そんなだらしない俺のことを、遠距離でそうそう会えない状況もあって、この頃には見放していたのだろう。
さらにもう一つ、今以上にギラつき方が泥臭かったこともまずかった。もう少しスマートにギラついていれば、せめてワンチャンは達成できたかもしれない。いや、間違いなく達成できた。
それから、俺は七瀬とは普通の友達に戻り、出張の際には2人ではなく、みんなで遊ぶようになった。飲みにいったり、スノボにいったりと。その輪の中には協力会社として一緒に出張していたタカヒロもいた。
まだ詳細は確認しないが、この頃に2人は付き合うようなったらしい。
つまり、タカヒロと七瀬を引きあわせたのは俺ということになる。
一方、俺は七瀬に失恋したこともあって、モテ技術を学ぶことに傾倒することとなった。なぜうまくいかなかったのか、どうすればうまくいっていたのか。その疑問を晴らしたかったのだ。そして、しばらくして、俺はナンパの世界を知ることとなる。
思えば、俺にせめて平均的な大学生レベル恋愛経験値があれば、恐らく七瀬とは普通に付き合うことができただろう。
そうすれば、俺はもしかしたらナンパの世界を知らずにいたのかもしれない、七瀬はタカヒロと出会うことはなかったかもしれない。
しかし、現実には俺はナンパ師となり、七瀬は人妻になることとなった。
この結果に俺は後悔はしていない。
ただ、運命というものにしみじみと感じ入るのみだ。
タカヒロから報告を受けたその夜、俺は珍しく深酒をした・・・。