№0103 奥義「無刀陣」誕生の瞬間
JDアポを控えた前日、銀座でストを行っていた。
この日、俺は今後の俺ドラフトの目玉となるであろう予感を漂わせる、高校野球で言えば早実の「清宮くん」級クラスの美女から番ゲに成功する(詳細は後日)。
しかし、その後の声かけ状況は芳しくなく、街にスト師があふれてきた状況を見て、このまま銀座でストってても結果を出すのは難しいと判断した。
そこで俺は攻略中の案件に電話をかけることとした。
その子は1ヶ月前くらいに新宿で連れ出した子だった。
-----------------------------------------------
1ヶ月前。
池袋で友達と飲んだ後、新宿に出て仲間と合流しストを開始した。
そこで1人の女の子に声をかける。
声かけた当初の反応は非常に薄かった。
俺がボケをかましたり、その子をイジったりしても、力ない様子で「・・・うん」とか頷くだけだった。
拒否る素振りは見せなかったものの、病的な雰囲気に怪しさを感じた俺は、
「あんまりつけ回すとストーカーなっちゃうよな。飲みに行こうかなと思って声かけたけど、その気無さそうだから行くわ」
と自分から切り上げようとした。
すると、向こうから
「・・・え、いいよ。・・・飲み行こう」
と力ない様子に変化はないままで乗っかってきた。
「・・・私の行きつけの店があるから、そこ行こう」
と彼女は言ったので、彼女についていった。
しばらくすると、地下の店に辿り着いた。
入り口の外には店員が立っていて、彼女のテンションが急に高くなって店員と和やかに会話を始めた。
そして彼女が言うにはちょっと小用があるから、この店で飲んで待っててとのことだった。
やばい、ボッタクリバーのキャッチか?
ビビって俺は逃げようとした。
その様子を見て店員は、
「いやいやw、うちは怪しい店じゃないですよ。ALL500円の普通の店です」
と爽やかな笑顔で言われた。
確かにその店員はいかにもカタギの人だし、店構えもいたって普通だった。
とりあえず、店に入って見ることにした。
店内もごくごく普通のワンコインバーだった。
中には合コンの2次会だろうか、男女がワイワイやっているテーブルもあった。
そこで彼女を待つこと15分くらいだろうか、少し焦れてきたところで、ようやく彼女が戻ってきた。
それから彼女と話したが、そこそこ盛り上がることができた。
話の中で分かった彼女のパーソナリティとしては・・・、
*新宿付近で1人暮らしをしている
*超夜型の生活
*仕事については何をしているか語らない
*彼氏はいない
ということだった。
ちなみに彼女はデニムのジャケットを脱ぐと、下はベアトップで怪しげなエロスが漂っていた。
その雰囲気と彼女の話から考えて、恐らく彼女は“風の民”なんだろうなと推測した。
そうこうするうちに終電の時間が迫ってきていた。
新宿に住んでいる彼女はこのままこの店で飲むとのことだった。
終電を諦めてセクトラを狙うことも考えたが、そこまで仕上がってないと判断し、この日は切り上げることとした。
その日の後、俺は彼女に何度か電話した。
彼女は不定期で仕事が入ってくるようなので、LINEでメッセージを送って予定だててアポるよりも、電話でその日にアポった方がよさそうだったからだ。
彼女からも電話がかかってくることもあったが、なかなかお互いの都合が合わず、アポれない状況が続いていた。
-----------------------------------------------
さて、話を戻そう。
その彼女に電話をしたところ、2時間くらいまでなら会えるということで、ついに緊急アポが成立した。
【今回のお相手:風の民子】
スト値 :7弱
年齢 :30歳
職業 :不明(風の民?)
雰囲気 :夜職風、金髪、エロい
性格 :ボーっとしてることが多い。テンション低め
彼女は高い店など連れていかなくてよいタイプと判断。
そこらへんの安居酒屋に入った。
席と席の感覚が狭く、周りが異常にうるさかったため、大声で話さなければならない環境であった。
1ヶ月ぶりに会ったので、まずは彼女にジャブをかましながら、俺はどう進めていこうか考えていた。
彼女はこの前会った時よりエロい格好だった。
その姿を見ていると、最近性欲が活発化していた俺は彼女に触りたい衝動に襲われた。
下半身の“剣”がいまにも雄叫びを上げようとしているのを必死で抑えた。
Cフェーズも進んでいない状況で性的アプローチをかましたら、直近2件のアポのように終わってしまうだろう。
前日のIOI実験を思い出した。
そうだ、彼女からのIOIが感じられなければ、手を出すべきではない。
まずは粛々とCフェーズを進めるべきなのだ。
ふと、天啓のようなものが閃いた。
“ギラ”行為はナンパ師にとってクロージング手段だと考えられているが、ギラつかずともゲットに至る道があるんじゃないか?
それは思いつきに過ぎず、何の根拠もなかった。
しかし、俺はその一筋の光明に賭けてみることにした。
俺は気を鎮めことに集中し、下半身の“剣”を収めた。
ナンパ師がギラを捨て去る・・・
パラドックスの果てに辿り着いた道・・・
ムササビ流軟派術奥義「無刀陣」が産声を上げた瞬間だった。
(次回へ続く)