№0113 決別
ストリートの世界に再び舞い戻った俺は、また同じ失敗を繰り返したくないためには、何かを変えなければいけないと思っていた。
しかし、いろいろと試行錯誤を繰り返していたが、何をどのように変えたらいいのかが見出だせずにいた。
そんなときだった。
スト仲間のDさんとLINEのやり取りをしていたのだが、Dさんのメッセージは俺を強烈に惹きつけた。
そのメッセージ内容は、我々の師匠であるRさんの手法とは真逆でいくことを宣言したものだった。
Rさんの手法はざっくりいうと誠実形である。
誠実形については、その限界を我々コミュニティ内でもすでにいろいろと議論がされていたが、"真逆"とまで言い切ったのはDさんが初めてだった。
思い切った物言いだったからというわけでもなく、Dさんの発言の真意を知ることは今の俺に必要なんじゃないだろうかと、俺の直感が訴えかけていた。
すでにその日夜遅い時間だったが、急遽渋谷でストっていたDさんに会って話を聞くこととなった。
ここでDさんのことを簡単に紹介しておく。
Dさんが我々のコミュニティに加入したのは昨年。
Dさんをはじめて見たとき、俺と同じ非モテ出身の匂いがして(実際そのとおりだったと仰っている)、ナンパをやりそうなタイプには見えなかった。
それから1年、俺とは違い、Dさんは猛烈な勢いで成長していった。
ゲット数もコンスタントに伸ばしていってる。
俺がDさんをリスペクトしているのは、ナンパに対する姿勢だ。
とにかく、ストイック。
デビュー当初から完ソロ中心で行い、だいたい1ヶ月300声かけ以上は優にこなしているという。
さて、Dさんと会って話を聞いた。
Dさんが言うには、これまでの数多の声かけや連れ出し・アポでの経験から、我々非モテ出身者のベースにある誠実さというのは・・・
モテること、ひいてはゲットすることにとって糞の役に立たないどころか、むしろ阻害要因になっている・・・
逆にナンパで結果を出している人やモテている人には共通するメンタリティの土台がある・・・
自分はそちらの方を追求していくとのこと。
Dさんの話すロジックは俺にとって十分納得できるものだった。
俺自身、優しさというベールの女性の顔色伺いは、女性の好意を得るどころか、食いつきをどんどんなくしていくのを感じていたからだ。
同時に俺は感動していた。
誰に頼ることなく、自らの経験により、オリジナルの方向性を導き出したことに。
一方の俺はどうだろうか。
恋愛工学だったり何だったりと、すぐに何かに頼ろうとしてしまっている・・・。
その日、帰宅した後、俺は金融日記のメルマガの購読を解除した。
そして、僕愛の書籍を破り捨てた。
誤解しないでほしい。
恋愛工学というテクノロジーは有用だ。
問題があるのは、それに頼ろうとしてしまう俺の弱さだ。
バイブルは人を思考停止させてしまう。
俺もDさんのようにオリジナルの方向性を見出すことを誓った。
その方向性は後に一つのテクニックとして昇華し、ムササビメソッドと呼ばれることとなる(予定)。