軟派黙示録ムササビ

ナンパの闇と真実

№0114 失ってしまった「理」

ある休日。

 

昼下がりのまどろみの中で、遠い昔のことを思い出していた。

 


幼稚園の頃の自分。


ダンスのお遊戯の時間だったか・・・、あの頃の俺は好みの女の子に自然と誘い、ダンスを楽しんだ。

 

そこに気負いといったものや、壁といったものはなかった。

 

俺は完全に自由だった。

 



 

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・・・まどろみから目を覚ます。

 

 

心地よい余韻にしばし浸る。

 

だが、急速にそれは失われていった。

 

 


いつからだろうか。


女性という生き物に対して接するときに、妙に気負うようになってしまったのは・・・。

 

 

 

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10月下旬頃。


俺は自分自身のナンパの手法を見出すべく、銀座でストを行っていた。


合流相手はJくん

 

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Jくんは我々のコミュニティでは異色のタイプである体の引き締まったコワモテ寄りのEXILE系イケメンだ。


恐らく、普通に生活していれば交わることのなかったタイプだが、今年に入ってからしょっちゅう合流している。

 


彼は今年から始めたばかりだが、息を吸うかのように非常に自然体でナンパを行う。


仕事の合間だろうが、電車での移動時間だろうが、朝の時間帯だろうが、気に入った女の子がいれば即座に声をかける。


彼は、昔俺が出会っていた「」の中にいた。



 

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さて、今まで学んできたものを一旦リセットし、ゼロからスタートすることにした俺はどう声かけしたらよいか途方に暮れていたところがあった。


そこでJくんとゲーム形式でナンパすることにした。


声かけに課題を設定して、じゃんけんをして負けたものはそれを遂行しなければいけないというルールにしたのだ。

 


課題というのは例えば、


10秒以内に声をかけなければいけない・・・


フロントから声をかけなければいけない・・・


声かけした女の子とじゃんけんをしなければいけない・・・


といったようなものだ。

 


これらの課題は普段であれば抵抗を感じてしまうが、じゃんけんに負けたからやらねばという義務感からそれを乗り越えることができる。

 


このゲーム形式のナンパをしばらく続けていくと、心を縛っている制限みたいなものがどんどんと無くなっていくようだった。

 


その最中、何人目だったか、ハットをかぶった女の子に声をかけた。


そこで俺は「目玉焼きは塩派か、醤油派か」という質問をしなければいけなかったが、口から出たのは恋愛工学徒のゴッホ氏がツイッターで公開していたオープナーだった。

 


ムササビ「そのハット、魔女みたいで可愛いね。ハロウィンの予行練習?」

 


一発でオープンした。


そこで課題を思い出した俺は、目玉焼きの質問をぶつけた。


さらに調子に乗って何故か急に女の子とじゃんけんもしてみた。


そして、スタバへ連れ出した。


俺はこのとき自由だった。

 


連れ出し先でも俺は好き勝手にいろいろ喋る。

 

場は盛り上がった。

 

しかし・・・

 

なぜか手応えは感じられない・・・

 

何かが違う・・・?

 

 

予感は的中し、その後別れて後日LINEのやり取りを行ったが、アポることはできないまま、彼女のLINEは死番と化してしまった。

 

 

 


ゲーム形式のナンパによって俺は自由を手にし、「理」を取り戻したかのように感じていた。

 

だが、今振り返ると、課題を克服するうちに、単に心が麻痺してしまっていただけだったんだと思う。

 

麻痺した心では感覚に無頓着となり、女子の挙動を無視した行動をとってしまう。

 

それは「理」ではない。

 

 

 

俺は大人になるにつれていろいろな知識やテクニックを詰め込んで成長してきたと思っていたが・・・大事なものをどこかに落としてきてしまった。

 

その結果、とんでもない回り道をしてしまっているのかもしれない。

 

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