#198 オレがナンパに求めていたもの
ジョーの教えに従い、テクニックやマインドセットなどのことはひとまず置き、オレは声かけという作業をこなすだけの機械仕掛けの人形と化した。
無理はせず、心に波風を立たせず、ただただ声をかける。
決してドキドキすることはない。
ふと思った。
これがオレのやりたいことだったけ?
いやいや・・・
いかん、いかん。
雑念は振り払わんと。
ただただ、無心で声をかけるんだ。
で、肝心の結果の方は・・・
ひたすら坊主が続いた。
次の日も坊主、その次の日も坊主・・・
機械仕掛けの人形であるはずのオレだったが、結果が出ないことに対して辛さを覚えずにはいられない。
そんなある日のことだった。
以前合流したことのある50代半ばのナンパ師の方と久々に再開した。
その方はイタリア人になりきったりと・・・
心の底から楽しそうにナンパをしていた。
その姿を見ていたオレの心の奥底にはふつふつと沸き立つものがあった。
あれだよ・・・オレがやりたいのはああいうことだよ・・・
オレは心を開放した。
そのまさに直後のひと声かけ目だった。
久々の連れ出し!
しかも、カワイイ子。
マッチングアプリでいいねをいっぱいもらっていて、男を漁っているような子だった。
連れ出し先では、先の50代半ばのナンパ師の方や他の仲間がついてきて、近くの席に座ってオレの名前を連呼するといういたずらをされてしまい、気が気ではなかったがw
結果は負けだった。
しかし、久々に思い出すことができた。
ドキドキすること。
楽しむこと。
機械仕掛けの人形になることじゃない。
オレがナンパに求めていたのはそういうことだった。