#191 再始動
結婚生活は順調だ。
これまで赤の他人と一緒に暮らしたことはなかったが、
同居生活は思ったよりも快適だ。
というか、楽しい。
10数年前、無職でカネもなければ、女性とも全く縁がなかったオレが 今では安定した仕事と一回り年下のそれなりに美人の嫁さんがいる。
大勝利と言っていいだろう。
ここまで来ることができたのは、並大抵の努力ではなかった。
血反吐を吐くような思いを何度もしてきた。
嫁をゲットしたストリートナンパは、一般の恋愛活動からすると蛇の道だ。
普通にモテるやつはやらなくても女をゲットしてるし、やったらやったでムカつくことにすぐに結果がついて回りやがる。
一方、非モテのストリートナンパは、女性からNOを何千何百と食らわされるわけで、苦行そのものだ。
よくここまでがんばった、オレ。
いや、マジで。
オレを突き動かしてきたのは、欠乏感と劣等感だった。
満たされたくて・・・、認められたくて・・・歯を食いしばりながら突っ走ってきた。
今のオレは満たされており、劣等感も解消された。
もうがんばらなくていい、これからは幸せを満喫すればいいんだ。
しかし、なぜか今ストリートに出ている、オレ!!
軟派師ムササビ、再始動!!!!
今のオレを突き動かすのは欠乏感と劣等感とは違う何かである。
もう一花咲かせたる!!