№0120 逃げグセ
Camcan子とのアポが成立した。
前回のアポでは彼女の男を試すような意見に逃げてしまうことで、オスとしての尊厳を失い、その後の低迷を招くこととなった。
アポの日が近づくにつれ、あのときの痛みとともに敗戦の恐怖心が俺を襲うようになっていた。
大分昔、恩師に俺の逃げグセについて指摘されたことを思い出した。
アポ数日前にはドタキャンしたい気持ちにまで恐怖心が膨れ上がっていた。
逃げたい・・・
いや、俺はCamcan子と戦うんだ
戦って勝つんだ
そして、新しい自分になるんだ・・・!!
事前のLINEでは、ミスフィッツ氏を参考にすることで、彼女にある程度ダメージを与えることはできていたと思っていた。
ただ、主導権を握るまでは至らなかった。アポの店を決める際に、自分のホームで安居酒屋に誘導しようとしたが、それは彼女に阻まれ、彼女の行きたいオシャレなビストロの店に決まってしまった。
まあ、これは仕方がない。アポの日はクリスマスウィークだし、安居酒屋というわけにはいかないだろう。
そして、アポ当日を迎えた。
【今回のお相手:CanCam子 3回目】
外見 :8/10
年齢 :20歳
職業 :大学3年生
系統 :アイドル系
スタイル :普通
性格 :自分を強く持っている
なんだか悔しいけど・・・、やはり可愛い!!
周囲はカップルだらけだったが、女性の方を見比べてみると、彼女がダントツに可愛く、俺は鼻高々だった。
さて、まずはつかみのトーク。
最近オレが取り入れているザキヤマや高田純次を参考にしたテキトークで場はあたためることができた。
だが、いつまでもテキトークでお茶を濁すわけにはいかない。
そろそろコアな話をと思ったが・・・、
ビビって足を踏み出すことができない・・・。
すると、彼女の方から、「なんで、あの9月の日会って以降全く連絡をよこさなかったの?」とか「最近、恋愛は方はどうなの?」みたいな話を振ってきた。
(実は9月アポの後、俺は彼女から既読スルーや未読スルーされたわけではなく、俺の方からメッセージを送らなかったのだ。どうせ、食いつきがないと思っていたので。)
これに対して、ビビっていた俺は笑いを交えたテキトークでレスポンスしたが、これが彼女の逆鱗に触れてしまった。
「ムサさんって表情出やすいよね。嘘ついてるときすぐ分かるんだけど」
「なんか今日のテンション全体的に変なんだけど。LINEもそうだったし。ぶっちゃけLINEとかで盛り上がってたから、私の事イケるとか勘違いしてたでしょ?」
「そんなこと全然ないから。てゆうか、急に連絡寄越さなくなったとかきちんと説明すべきじゃない」
などと、トーンこそ静かだったが、異様な迫力で彼女に詰め寄られた。
それに対して、俺は完全にビビってしまい、半笑いで答えに窮していた。
彼女はその俺の様子を見て、とどめの一撃を放った。
「ムサさんって弱いよね。会うたびに印象が弱々しくなる。」
「ていうか、ムサさんって絶対モテないよね?」
完全に俺は戦闘不能となった。
一回り以上年の離れた女性にここまで言われたい放題なのに、情けないことに俺は何も言い返すことができなかった。彼女の言うことはまさしく全てその通りだと自分でも思っていたから。
その後、彼女は言い過ぎてしまったことを反省したのか、むしろ俺の機嫌をなだめるような口ぶりになった。
その流れで彼女が俺の学生時代の頃の話を聞いてきたので、イケてない中学生時代をカミングアウトするなどぶっちゃけトークをすることによって、お互い本音トークを交わし、最後は爽やかに解散することができた。
しかし、その夜、彼女に言われた言葉が次々に脳裏に蘇り、俺は何度か吐きそうになった(吐かなかったけど)。
シャワーを浴びながら俺は嗚咽混じりに叫んだ。
「俺はオスとして弱い・・・、なんて弱いんだ・・・・・・・・!!!」
次の日、花京院とコンビナンパした子とのアポだった。
まるでやる気の出なかった俺は全くギラつきもせず、健全解散となった。
酔いが覚めた状態で見た彼女があまり可愛くなかったというのもあるが、オスとしての自信を失ってしまったことが大きかった。
後で花京院サイドから聞くと、彼女は俺に満更でもなかったようだ。
上手くすればイケた案件を落としてしまったのだ。
(ちなみに花京院は花京院担当をフェラーリまでは決めた)
こうして、2015年の俺の活動は幕を閉じた。
俺の弱さの原因が、セルフトークにあると気づくのは、もう少し先のことである・・・。